忍刀53作った話
きっかけはゆるキーvol.5
飲みの席で小太刀40をいただきました。進捗だしつつちゃんと作るぞ #ゆるキー pic.twitter.com/0Zq6VlaGXe
— アンバー (@amber6626) 2019年9月15日
弁当屋Pさん(@Bentouya_P)から小太刀40のと言う左右対称な配列のキーボードの試作基板をいただきました.
作った
弁当屋P(@Bentouya_P)さんの小太刀40完成!
— アンバー (@amber6626) 2019年10月20日
かなりコンパクトにまとまってて良い
キーキャップはいずれ違うのをつけたいなぁ
#自作キーボード pic.twitter.com/lDGqWhDWEH
実際に使用してみると左右対称な配列がすごく手に馴染み,この配列に記号キーを足したキーボードが欲しいと思ったのがきっかけ.
忍刀53とは
- 53キー・一体型
- アクリル積層ケース
- CherryMX互換スイッチ対応
- SymmetricalStagger
- コンパクトながら記号キーが見えている
- ホットスワップ非対応
- 光る
レイアウトについて
SymmetricalStagger
一言でいえば八の字のようにずれている配列のことを言います. メリットとしては,小指が打ちやすいこと,両手が自然にハの字になるため手首の負担が軽減されるなどがあります.
このように一体型ながら負担が少ない配列ですが,あまりSymmetricalStaggerで自作キーボードを開発している人はあまりいないです.(最近は増えてきているがキットとして販売しているものは少ない)
このような配列のキーボードで代表的なものとして,KATANA60というキーボードがありますが,すでに販売されておらず,他にもいくつか似たようなものもありますが,売ってないものがほとんどです.
そのため,SymmetricalStaggerな配列を試したいと思っても自分で作るしかありませんでした.
しかし,最近ではシンメトリカルZincというキーボードが販売されていて,現状これが一番お手軽にSymmetricalStaggerを試すことができるキーボードだと思います.興味がある方はぜひ.
小太刀40レイアウトについて
小太刀40は以下のような配列になっています.
ごらんのとおり,記号キーが見えておらずほぼすべての記号キーが他レイヤにあります.持ち運んで使用するにはコンパクトでとても使いやすく特に不満はありませんでした.しかし,自宅で利用しているうちに,プログラミングなどを行う際,利用頻度の高い記号キーが見えておらず,タイピングをスムーズに行えない不満がありました.
そこで,自宅で利用する用に,小太刀40に記号キーを足したキーボードを作っちゃおう!ってなりました.
なお,小太刀40の詳細については作者がブログを書いているのでそちらをぜひ見ていただければと思います.
bentouya-p-blog.hatenablog.com
忍刀53のレイアウト
忍刀53は小太刀40のレイアウトの影響を大きく受けています.
小太刀40に記号キーを足したレイアウトになっていて,記号キーは内側に配置しました.これは当時,私がErgodashと言う分割キーボードをよく使用していたことから,そのレイアウトに合わせた形にしています.
また,親指周りの配置も他のSymmetricalStagger配列のキーボードとは違う配置をしています. これ実は,設計段階ではなくTwitterでいくつか反応をもらって気付いたのですが,SpaceとEnterが他のキーボードよりも内側に配置されています.
実際に比較してみるとわかるのですが,忍刀53は,KATANA60やkodachi40よりもSpaceキー,Enterキーが内側(中央に寄っている)に配置されています.
これによって,隣接したキーへのアクセスが簡単にできるようになるというメリットが生まれました.
意図したことではないですが,これは忍刀53の一つの大きな特徴なのかなと個人的には思っています.
おわりに
いろいろ書きましたが,kodachi40の影響をとても受けているということが伝われば十分です.
去年の1月から自作キーボードの世界に入り,1年たたないうちに自分でキーボード設計して作りましたが,やっぱりモノづくりは楽しいなと改めて思いました.私は情報系ではあるのですが,要求工学の分野がメインなので,コーディングするような機会も少なくここ数年はあまりモノづくりをしていなかったため,とても楽しく作ることができました.電子工作についてははんだ付けは幼少期に何度もした経験があったので問題なかったのですが,回路の設計なんかは完全ド素人でした.でもなんとかなりましたね.ここは自作キーボード界隈のサポートが手厚かったです.ほんとに.
初めてのキーボード開発でしたが,かなり満足度の高いものができたかなと思います.もちろん,まだいろいろ課題を残した部分もあるので,それは改良していきたいなと思います.忍刀53を半年ほど使用しましたが,ほんとに手になじみます.親指周りの配列は意図していませんでしたが,とても便利です.
忍刀53は,天キーvol.3にて展示させてもらったのですが,やっぱりSymmetricalStaggerはあまり人気ではないなぁと実感しますね.ただ,ここ最近のTwitterを見ているとSymmetricalStaggerのキーボードを作っている方をちらほら見かけるのでそれなりにはと言った感じでしょうか.
とまあこんな感じでしょうか.これで終わりにしようと思います. つたない文章ではあったと思いますが,ここまで読んでいただきありがとうございました.
おまけ
忍刀53の由来(とロゴを作った)
わかる方はわかると思いますが,KATANA60とkodachi40に倣って忍刀53/shinobigatana53です.
なにかの刀を名前にしたいというのは,設計中にずっとありました.それで,真っ先に思い浮かんだ刀が,自分がプレイしているとあるMMORPGで,忍者をメインジョブとしていたので,その武器である双剣が思い浮かびました.だた,双剣はなんか違うなぁとなりまして,じゃあ忍者が持つ刀の名前ってなんだってなったときに「忍び刀」が思い浮かんだというのが由来です.あとは,小太刀,忍刀というのは,基本的に持ち歩きやすさを重視した武器です.そういう意味でも,記号キーがありながら,持ちやすいキーボードであってほしいと思い,この名前に決定しました.ただ,忍刀53はまったくもって持ち運びには向いてないものになってしまったのでそこは残念と言ったところです.
時間があるときにロゴを作ってしまいまいました.こちら.
我ながらそこそこいいものができたなと思うのと,(多分)使うことはないのでここで供養したいと思います.
今作っているもの
KATANA60が欲しくなったのですが,買えないので自分で作ろうということでKATANA60のクローンを現在作ってます.
— アンバー (@amber6626) 2020年6月5日
すでに基板自体は手元にあるのですが,ここ数か月忙しくて動作確認ができてない状況です.もう少しすれば1か月ほどの夏休みがやってくるのでその時に完成させようかと・・・・
あともう一つ,忍刀53の改良版を作ってます.
忍刀改良版,ようやく形になった・・・(スペーサの穴開けてないけど) pic.twitter.com/1wdMcRhKuK
— アンバー (@amber6626) 2020年4月19日
こちらはまだ基板発注しておらず,ずっと眠っている状態です. コンセプトとしては従来の忍刀53のコンセプトに加え,
従来のものより薄く
ホットスワップ対応
USB type-C対応
この3つが従来の忍刀53との大きな違いです.
しかしながら,はんだ付けの難易度は上がりました.
最後に.
忍刀53作って終わりかなぁと思ったんですが,なんやかんやいろいろ作ってます.やっぱりモノづくりは楽しいです. 今年は,自分で設計してばかりなのでそろそろ自作キーボードキットを何か一つ買って作りたいなぁと思います.
この記事は忍刀53で書きました.